サビナ

自分が自分になるためには他人の視点が必要なんだよ。
他人こそが自分を自分にしてくれるんだよ。

Tokestaが言ってた。

本の中のサビナも言ってた。

僕もそう思う。
いい服を着たり、好きな美容院で髪を切ってもらったり
染めてみたり、
アトピーがひどくなって気にするのだって
全部他人からの視点があるからこそのもの。

好きな人が出来て、メール２通連続はうざいかな？とか
彼氏が出来てなんで返事来ない？とか。
僕は自分以外のものの存在を疑いつつも
好きな人には嫌われないように、と
無意識と呼びうるレベルで
気を使う。

自由だねって言われることが多い。

生まれたときから名前が決まってた。
生まれたときから育つ環境が決まってた。
中学受験で受ける学校が決まってた。
大学以外に進学することを許してはくれなかった。

両親は僕のやりたいことは一通り全て反対したと思う。
洋服の仕事がしたいから専門に行く。
僕の取り寄せた資料が僕の手元に届くことは無かった。
学校とママとした面接では
先生が3人も来て　４人掛かりで説得された。

奇声を発して走り回ることをしなくなった。
夜は眠るようになった（起きてることもあるけど）。
アトピーは大きくなったら治るって言われたけれど、
もっと大きくならないとだめそうだ。

自由だねっていう発言ひとつに、
そんな責任持て　とは言わないけれど、

型にはまるのが嫌いなんでしょ？
そんな平たい言葉で表現されても…。

好きなわけじゃないけど、嫌いでもない。
しょうがないんだ。



空を全部見たいと思っても、
マンション群に切り取られて。
自分の通ってきた過去さえも
全てを思い出すこととはほど遠く、
思い出している自分は過去の自分とは違っていて、
感情を思い出すよりも作り出す方が容易で、
僕は
僕として　しか存在できない。

僕は自由か。
バイトをしていない。
学校も毎日皆勤賞な訳ではない。
付き合わなければならない嫌みな友達は存在しないし、
何かの集団に属しているわけでもない。
父からもらう生活保護は十分で、
贅沢なことだ、と思う。

僕に自由なんて言葉は似合わない。
贅沢人間　なんてちょうどいいんじゃない？
今日も贅沢しに街に繰り出そう。